2009年4月26日日曜日

数分の思い出

昨日のことだ。
ぼくは駅のなかでまんじゅうを買った。
ちょうど、最後の二個であった。
ボクがレジに持っていくとすぐに60代後半に見える男性が「まんじゅうはないか。」と店員に問いかけた。
一瞬のことだったが、彼はまるで小林秀雄のように見えた。
外見がそうだったからか声まで小林秀雄だ。
原因はそのとき小林秀雄のことを考えていたからだろうが。
それで、地元で有名なまんじゅうだったからこれを探しに来られた、そんな空想さえ浮かんだものだ。
無論、ボクが最後の二個を買ったのだからあるはずがない。
店員が売り切れたと言うと、彼はあっさり帰ってしまったがボクは彼の希望を断ってしまった身の上だ、もちろん快いわけがない。
店員もそれを察してかわざとらしく軽い笑顔で繕っている。
一つぐらいなら譲るべきだったか、彼がもう少しまんじゅうに執着していたら少しの時間でいろいろ考えられただろうが、そのときのボクは疲れていたし、正しい選択を瞬時に取れる性でもないからもやもやした心のままでいることとなった。
正直、ボクは彼に対し、早い者勝ちの理論をぶつけていたのだ。
たしかに正しい選択を瞬時に取れない人間ではある。
いや、それでも答えはまず出てくる。
それの確認がボクの癖なのだ。
その答えが早い者勝ち、勝負の理論ではボクの最も信奉する理論であり、それを身につけていたいとも思っている。
しかし、ボクは仁義も大事とみている。
仁義なくして人と人との信頼は有り得ない。
仁義すなわち思いやりと正義の分量の割合、比率を求めることが善であると思っている。
いま、それを彼に適応させられなかったことに後悔している。

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